ノックは無用
  [Don't Bother to Knock] '52
監督/ロイ・ベイカー
出演/リチャード・ウィドマーク、アン・バンクロフト

STORY

ネル(マリリン)は叔父のつてで、ベビーシッターとしてあるホテルに雇われる。同ホテルに泊まったジェッド(リチャード)は、偶然向かいの部屋にいるネルを見かけ、興味を持ち、彼女の部屋まで会いに行く。彼女は、ジェッドに対して、客の私物である衣装や香水を身につけ、この部屋の借主のようにふるまう。
マリリンの初主演映画。「おつむの弱いブロンド」というイメージがまだ無い初期に撮られたサスペンスもので、貴重な1品といえるのでは。

感想

彼女の行動が、だんだん、ちょっとずつおかしくなっていく。彼女の一挙一動をカメラの向こう側で見て、全て知っている私達は、彼女の工作がいつ露呈してしまうのか、ハラハラしながら見守ります。構成もよくまとまっていて、よい映画だと思います。

MARILYN

モノクロのマリリン、きれい。マリリンの美しさが、狂っていく女性の哀れさをより印象付けます。彼女の異常さは、終盤でついに暴力を振るうに及び始めますが、なぜか恐怖も憎しみも感じられません。それは自傷行為の一つのあらわれであり、壊れてしまいそうな自分自身を必死で止めようと、周囲に助けを求める結果のように思えます。辛い過去のために、少しおかしくなった可哀相な女性というキャラクターと、マリリン自身を重ねながら見てしまったので、ラストは泣けてきちゃいました。淀川長治先生の「マリリンに『欲望という名の電車』の主役をやらせてみたかった」という言葉を思い出しました。
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